2023.09.19
プラダン(プラスチックダンボール)とは?特徴・種類・用途を徹底解説!
プラダンとは、「プラスチックダンボール」の略称です。ダンプラやプラベニヤと呼ばれることもあります。その名の通り、ポリプロピレンというプラスチックの一種から製造された板材で、紙製の段ボールに似た中空状の構造になっています。中空板ならではのメリットとプラスチックならではのメリットを様々に併せ持っているため、軽量さ・丈夫さ・機能性のバランスに優れており、繰り返し長く使用できるのが特徴です。
板状のままのプラダンは「プラダンシート」、箱状に組み立てたものは「プラダンケース」と呼ばれます。いずれも業種・業界を問わずあらゆる分野で取り入れられ、輸送コストの削減や環境保護のために活躍しています。
目次
プラダンについての基礎知識
プラダンの材質
プラダンの原材料は「ポリプロピレン(PP)」という種類のプラスチックです。
ポリプロピレンは熱可塑性樹脂(熱を加えると柔らかくなり冷やすと硬まる性質を持つプラスチック)の一種です。機能性に優れ、様々なメリットを有しているため、プラダンの他にも家庭用品・雑貨・包装材など、私たちの身の回りで広く利用されています。
プラダンの構造
紙段ボールのように中芯が表層に挟まれた中空構造になっていますが、紙段ボールの中芯が波型なのに対して、プラダンの中芯は真っすぐな柱が等間隔に並んだ形になっています。この中芯は「リブ」、表層は「ライナー」と呼ばれます。プラダンの断面からはハーモニカの吹き口のような中空構造が見え、ライナー面からは筋目状のリブが透けて見えます。
プラダンは原料を型に流し込んで押し出す「一体押出成形」という方法で製造されているので、リブとライナーが一体化しています。そのため、紙段ボールのようにライナーが剥がれてしまう心配がありません。
プラダンの主な使用用途
梱包箱
プラダンを箱状に加工すると、丈夫な梱包材になります。一般的な紙段ボール製の箱だとすぐ傷んでしまいますが、プラダンケースは強度・耐久性が高いため、繰り返しの使用や重量物の収納に耐えられます。拠点間を何往復もさせる通い箱として、備品や機材の運搬・輸送で活用されています。
養生
プラダンには緩衝性があるため、物を移動させる際に、壁・柱・窓・床などにぶつかって傷が付くのを防ぐ養生用途に向いています。
引っ越しなどの際にエレベーター内に貼り付けられているのもプラダンシートです。
看板
プラダンシートは穴あけ加工や印刷ができ、水濡れにも強いので、看板としても度々使用されます。街中で選挙ポスターの台紙として使われていることも多いです。
製品パーツ
プラダンは軽さと強度のバランスが良いため、工業製品の軽量化を図る目的で、部品の一部として使用されることもあります。身近な例では、自動車の内装部品や機械の絶縁材、ベッドの中芯などが挙げられます。
DIY
プラダンはカッターで切断でき、素手で折り曲げられるので、工作の材料としても人気があります。窓断熱・ペットサークル・引き出しの中仕切り・網棚の下敷きなど、アイデア次第で様々な物が作れます。
プラダンの特徴
プラダンの長所
軽量性
プラダンは内部が空洞状になった構造をしているため、厚みのわりに軽量です。
また、プラダンの原料であるポリプロピレンは、汎用プラスチックの中で最も比重が小さく、水に浮くほど軽いのが特徴です。
構造の軽さと原料の軽さが組み合わさることによって、同じ厚みで中身が詰まった板材に比べて抜群の軽量性を実現できています。
耐久性
形状や使用環境にもよりますが、プラダンケースには通常の紙段ボール箱の10倍以上の耐久性があります。厚みや目付の値を大きくしたり、オプションパーツで補強するとさらに丈夫になります。原料のポリプロピレンの特性上、折り曲げ(ヒンジ)耐性にも優れているため、蓋の開閉や折り畳みを繰り返しても傷みにくいという特徴もあります。
緩衝性
プラダンは、中空構造部分に溜まった空気層により、緩衝性に優れています。
物が落下したりぶつかったりした際に、プラダンが空気層と共に潰れて衝撃を分散させてくれるため、養生材や梱包材としての用途に向いています。
耐水性
紙と異なり濡れても破損しないため、屋外掲示用の看板や、水に濡れると困るものの梱包箱・保管箱にも適しています。
汚れた際に水拭き・水洗いすることも可能です。
耐薬性
プラダンは薬品・溶剤への耐性が高いです。特に耐アルカリ性に優れており、無機アルカリのほとんどに耐性があります。消毒や洗浄が可能なほか、薬品や溶剤の運搬・保管用途にも向いています。
また、耐油性にも優れているため、機械油が付着する可能性のある用途でも使えます。
衛生的
紙ダンボールでは紙粉が、木箱では木屑が発生しますが、プラダンではそのようなことはないため衛生的に使えます。
また、洗浄やアルコールでのふき取りが可能なのも特徴となっています。
さらに、導電性の機能を持ったシートを採用すれば静電気による埃の付着を防げるので、クリーンルームでの使用にも適しています。
断熱性
プラダンの原料のポリプロピレンには、窓ガラスの約3倍~4倍の断熱性があります。また、プラダンの中空構造部分に溜まった空気層にも熱を遮る効果があります。そのため、窓などに設置すると、熱気や冷気を伝えにくくして結露を防ぐことができます。
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経済的
プラダンは、使えば使うほどお得になる製品です。一般的な紙段ボールと比べると導入コストがかかりますが、紙段ボールよりも圧倒的に長持ちするため、結果的に費用対効果が高くなります。
また、プラダンケースは製作時に金型が不要なので、成型コンテナに比べて初期コストがかかりません。1個からでも格安で製作できるため、気軽にサンプル試作が行えます。
サステナブル
プラダンは石油由来の製品なので、紙段ボールと比べると初回製造時のCO2排出量は多いです。ただ、紙ダンボールよりもずっと長持ちするため、使えば使うほど1回使用あたりのCO2排出量が抑えられ、環境保護に繋がります。また、使い終わったらサーマルリサイクルして熱エネルギーに変換することもできるので、最後まで無駄のない素材です。
プラダンの注意点
寸法誤差
プラダンは、その構造上、加工時にどうしても数mmのズレが発生してしまう素材です。
プラダンの筋目部分は細い柱状になっており、他の部分よりも硬くなっています。ここに断裁機やカッターの刃が平行に乗ると、刃が筋目の左右の柔らかい部分へとずれてしまいます。また、筋目の上に折り目線が入ると、折り目が筋目の左右の柔らかい部分へとずれて曲がります。そのため、完璧な寸法精度が出せないようになっているのです。
たわみ
大きいサイズのプラダンシートでは、しばしば筋目に沿って反り、たわみが発生することがあります。たわみを予防したい場合は、厚みや目付の値が大きいものを選んだり、2枚重ねて使ったりするなどの工夫が必要です。
紫外線対策
プラダンの原料のポリプロピレン樹脂は紫外線に弱いです。ポリプロピレン製の洗濯バサミやハンガーを直射日光が当たるところに放置しておくとボロボロに劣化してしまいますが、プラダンでも同様のことが起こります。短期間の屋外使用または使い捨てなら問題ありませんが、頻繁に日光に当てる・長期間屋外に設置するといった用途の場合には不向きです。
耐熱性
ポリプロピレン樹脂は石油由来の原料なので可燃性があります。高温になればなるほど柔らかくなり、そのまま熱し続けると150℃(融点)で溶け始め、最終的には490℃(発火点)で発火します。熱可塑性樹脂の中では耐熱性に優れているとは言え、火気の近くなど高温になる環境下での使用は避け、なるべく常温でご使用ください。
湿気対策
プラダン自体には耐水性がありますが、中空構造部分に水分や湿気が溜まったまま放置すると、カビが発生する原因になります。水濡れしたり、湿気の高いところで使用した後は、しっかりと乾かしてください。
プラダンの種類
種類
標準プラダン
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標準プラダン(サンプライ)
標準的なプラダンシートです。色数・目付(樹脂量)・厚みのバリエーションが多く、様々な用途に対応できます。 -
AMHAオリジナルプラダン
サンプライで最もポピュラーな厚み5mm・目付800g/㎡のグレードに、AMHA独自のアースカラーを追加したものです。特色のため工場内に在庫を持っており、短納期でのお届けが可能です。
導電プラダン
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導電プラダン
製造時に導電性物質(電気をよく通す物質)のカーボンブラックを含有させたプラダンです。静電気を逃すことができるため、埃の吸着や静電気破壊を防ぐのに有効です。 -
表面導電プラダン
導電プラダンでは素材全体にカーボンブラックが練り込まれていますが、こちらは表層部分のみにカーボンブラックが含まれています。簡易的な静電気対策にご使用いただけます。
環境対応プラダン
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バイオエコプラダン
原料の一部に植物由来樹脂(バイオマスプラスチック)が添加されたプラダンです。従来の石油由来の原料のみで作られたプラダンと同等の性能を維持したまま、環境への優しさに対応しています。従来品に比べて、6.2%の二酸化炭素(CO2) 削減効果があります。 -
エコリアルボード
リサイクル原料100%(顔料・添加剤を除く)で作られたプラダンです。原料の再生素材の特性により、表面が色むらのある粗い風合いになっており、中空構造部分は黒色になっています。
プラダンに似た中空樹脂板
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LIT
プラダンと同じ中空構造板ですが、中芯部分の形状が三角柱型になっています。カッターで簡単に切断できます。目方向がないため筋目が入っておらず、力がかかる方向に対する強度差が出ません。箱にしたときの強度はプラダンと同程度です。 -
プラパール
プチプチ®と同じ構造の中空積層板で、表面のザラザラとしたシボ加工が特徴的です。「キャップ」とよばれる円柱状に真空成形したシートと上下2枚のシートを熱溶着させ、空気を密封しています。目方向がないため筋目が入っておらず、どんな方向からの力にも等しく強いです。剛性が高く、カットや折り曲げが難しい代わりに、強度が要求される輸送用ケースの材料としても人気があります。 -
テクセル
六角柱状の中芯が蜂の巣のように配置されたハニカム構造になっています。特殊成形により表層と中空構造部分が一体化されており、強度面において非常に優れています。 -
スミパネル
外観上はプラダンと同じ構造ですが、各部の厚みが増し、非常に強度が上がっています。板材自体にも9mm~15mmの厚みがあり、剛性が高いのが特徴です。原料にタルクが配合され、さらに剛性が上がっているグレードもあります。
厚みと目付
厚み
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1.5mm
プラダンの中で最も薄いグレードです。壁・窓の養生用に使えます。曲面に沿った折り曲げも簡単にできるので、丸い柱の養生にも向いています。 -
2.0mm
かなり薄いグレードです。壁・窓の養生用に使えます。曲面に沿った折り曲げも簡単にできるので、丸い柱の養生にも向いています。 -
2.5mm
かなり薄いグレードです。目付次第で硬さが大きく変わります。壁・窓の養生用途やDIYに向いています。 -
3.0mm
薄めのグレードです。目付次第で硬さが大きく変わります。壁・窓・床の養生用途やDIY、小さく軽い物の保管箱に向いています。 -
4.0mm
標準よりやや薄めのグレードです。DIY、ポスターの台紙、看板、小さく軽い物の保管箱に向いています。 -
5.0mm
一般的な厚みです。看板、箱、下敷き、間仕切り、窓断熱、養生、DIYなど最もマルチな用途で使えます。輸送用の箱を作るならこの厚みが最適です。 -
6.0mm
標準よりやや厚めのグレードです。空気層の厚みを活かした窓断熱や、下敷きに向いています。 -
7.0mm
プラダンの中で最も厚いグレードです。強度が高いため、下敷きやコンパネの代用に最適です。
目付
「目付」とは、単位面積あたりの重量を指します。たとえば、標準的な5mm厚・800g/㎡のシートの場合、1㎡あたりの重量は800gとなります。
プラダンの重量は、原料として使われる樹脂の量によって変動します。同じ厚み・同じ面積のプラダンシートであっても、目付の値が大きくなるほど樹脂量が増えて重くなります。また、厚みと面積が同じまま樹脂量が増えると、樹脂の密度が増すため強度も上がります。
プラダンの製造工程では、この樹脂量を調整することで目付のバリエーションを作り分けています。目付の値が大きくなるほど重く硬く、小さくなるほど軽く柔らかくなります。強度と軽さのバランスを見ながら、使用用途に合った目付をお選びください。
カラーバリエーション
AMHAでは、プラダン業界最多のカラーラインナップをご用意しております。
標準タイプのプラダンにおいて、標準色11色・AMHA限定色3色から、ご利用用途やお好みに合わせてお選びいただけます。
標準色
AMHAオリジナルカラー
まとめ
様々なメリットを併せ持つプラダンは、アイデア次第で様々な用途に活用できます。
AMHAの「すぐラクプラダン」なら、プラダンシートやプラダンケースを1個から簡単にオーダーメイド製作可能です。
色・サイズ・オプションなど、ご希望の仕様を入力するだけで見積から決済まで完結できるので、空き時間に簡単にオーダーできます。
オリジナルのプラダンで、暮らしや業務を便利に変えてみませんか?